車の凹みやキズをみつけたとき、どのような対応をしますか?多くの方が板金塗装を考えると思います。ここでは専用工具で修復するデントリペアのご紹介と板金塗装との違いを解説します。デントリペアは近年技術が格段に進歩し、対応できる凹みの幅が広がっています。
板金塗装とデントリペアの主な違いは4つです。
板金塗装 | デントリペア | |
塗装 | 剥がす | そのまま(※1) |
費用 | デントリペアより高い | 板金塗装の半額程度(※2) |
施工時間 | 数日 | 数時間(※3) |
施工場所 | 持ち込み | 出張修理可能 |
※1 下取り査定に影響しません。
※2 凹みの状態によります。
※3 代車は必要ありません。
板金塗装とは、車のキズやヘコミを修理することで、「剥がし・修理」→「パテ埋め」→「塗装」の3つの工程に分かれています。多くの人は車のキズやヘコミを修理するとき、はじめに思いつくのは「板金塗装」だと思います。
板金塗装の工程は、3つです。
1.塗装をはがし、ハンマーなどでボディーのへこんだ部分を表面に引き出します。
2.へこみの引き出し作業後、塗装面を剥がしてパテを埋め込みます。塗料がきれいに塗れるように下地を整えます。
3.パテを埋め込んだ部分に塗料を調色し、塗装します。
デントリペアの工程は、下記の2つの作業を何度も繰り返します。
1.デントツールで裏面から押し出す。
2.塗装を傷めないように、出過ぎた部分を表面から細かくポンチングし、ラインに合わせていく。
塗装を乾かすなどの時間が不要なので、数時間で作業が完了します。代車のご用意は必要ありません。
また大掛かりな装置も不要のため、出張修理ができます。
デントリペアと板金塗装の最大の違いでありメリットは、やはり「塗装を剥がすかそのまま生かせる」ことでしょう。
「新車時の塗装をそのまま残せる」ということは、
・「パテ埋め」は一切行わないので、パテ痩せや色違いなどの心配が無い
・修理跡が残らないから、オークション、下取り査定に響かない
板金塗装は、プロが見れば修理した形跡はほぼわかるので査定が下がります。
デントリペアの場合、プロの査定士が見ても修理車と見抜くのは非常に困難です。
「ビンテージ物でオリジナル塗装をなるべく残したい」「大事に乗っているから再塗装したくない」という方々からには、デントリペア技術は圧倒的な支持を得ています。
最近は、バイクタンクのデントリペア依頼も急増しています。
ホンダCB750K、タンク後方のプレスの潰れた凹み。
古いバイクタンクで塗装の劣化も気にしつつ、ガッツリ凹みの底の縦線のクリヤーの削れを若干残しながらのデントリペアです。
が・・・、問題は、「車業界でも認知度が低い特殊技術」だということでしょうか?
(デントリペア業界の周知、PR努力不足を実感してますm(_ _)m)
先日も、レクサスディーラー店にヘコミ相談に行った方から、
「ドアパンチのプレスラインの潰れは、塗装が割れるのでデントリペアでは出来ず、板金塗装を勧められたが、できないかどうか見るだけでも見てほしい」というお電話がありました。
拝見してみると、確かに難しい場所でディーラーの担当者が言われることも分かるのですが、私どもではドアのプレスラインの潰れも普通にデントリペアで直しています。
といっても、結局は「腕しだい」。技術者によって凹みの仕上がりは変わるのでデントリペア業者の選定は重要です。
それでは、ひとつ質問です!アイキャッチ画像につかっている大きな凹み。板金塗装で直したか?デントリペアで直したか?
マツダの赤「ソウルレッド・プレミアム・メタリック」
塗装屋さん泣かせの色です。
レクサスのお客様からも、「全くどこが潰れていたかわかならい!修理履歴が残らなくてよかった」と喜んでいただきました。
技術者冥利に尽きます!
しかし、デントリペアにはデメリット、できないこともあります。
・塗装しないので、塗膜のキズやはがれ等はそのまま残ります。
・デントツールの入らない所(鉄板の折り返し部分やピラー等)、樹脂パーツ(バンパーなど)は基本的にできません。
・大きい傷を修復するのには向いていません。
ディーラーや整備工場で板金塗装の見積もりが出た時に、「デントリペアやっていますか?」と確認しててみることをオススメします。自社でデントリペアを行っていなくても、提携先がを持っているところも多いです。
実際に私も、ほとんどすべてのディーラー様から重宝されております。(お客様と直接お目にかかることはありませんが・・・)
神戸市・姫路市周辺へは、直接伺うこともできます!